
前回のブログの後編になります。前回は臨床心理士になるためにどんなことを大学院でするのか、地方の少人数で過ごした私の経験をもとに①授業、②研究活動について紹介しました。
今回は、③実習と④カウンセリングのトレーニングについて振り返ってみようと思います。
③ 実習
都心の大学院ではいくつもの実習先から好きな場所を選べる学校もあるようですが、私の大学院では少人数ということもあり、あらかじめ行く場所が決められていました。
具体的には精神保健福祉センターのデイケア、 児童相談所、単科の精神科病院と大学病院に実習に行きました。ジャンルの異なる場所の実習に行けたので、卒業後自分はどこでどのような働き方がしたいのかをイメージしやすかったです。
特に、大学病院の実習が印象に残っています。患者さんが入院している病棟に見学に行った時に、実習担当の先生から「見学するだけではなく患者さん3人に話しかけてみよう」と課題が出されました。
当時は精神疾患を持つ患者さんと関わったことがなく、どう話しかけたら良いんだ…!とあわあわしていたところ統合失調症の患者さんに声をかけられ自身の症状(妄想)について話され、どうリアクションすべきなのか困った記憶があります。
5歳児健診のお手伝いで知能検査を担当した際にも、すぐに子どもが立ち歩いてしまったり、話を全然聴いてもらえなかったり、落ち着いて検査を受けるのが難しい元気いっぱいのお子さんの対応にあくせくしたのも良い思い出です。
(最終的に一緒にはしゃいで仲良くなった時もありました・・・)
④ カウンセリングのトレーニング
大学院のころからカウンセリングの実践トレーニングは始まります。
私は大学院に併設されていた心理臨床相談室に来談されたクライエントさんのケースを在学中に4ケース担当しました。
毎回のセッションがおわるたびに、担当の先生にご指導をいただくのですが、そのために録音させてもらっているカウンセリングの音声を一言一句文字起こしをし、先生に提出するための資料を作成して…という一連の作業が本当に地道で大変でした。今作業のおかげでかなりタイピングは早くなったと思います。
もちろんカウンセリングもまだまだ慣れていなかったため、毎回緊張しっぱなしで大変でした。
私の大学院では認知行動療法、精神分析、来談者中心療法をベースに臨床をされている先生が3人いらっしゃり、各アプローチの視点から専門的なご指導いただけたのはとても勉強になりました。
「これはすごく頭で理解できるな…」「これはよくわからないけどなんかずっしり刺さるものがあるな…」など、どのアプローチの考え方や捉え方にも面白さを感じながら少しでも吸収しようと必死でしたが、今振り返るとこの様々な視点からカウンセリングの指導を受けられた経験が、クライエントさんの状態や傾向に合わせてアプローチを組み立てる統合的心理療法を志すルーツになっていたのだと感じます。
また、毎週授業で外部の精神科医の先生をお招きし、担当しているケースについて検討を行うケースカンファレンスもありました。
学生の人数が少ないため、月に2回発表が回ってくる!なんてことも珍しくありませんでした。
私は人前で発表するのが大の苦手なのですが、当時はカンファレンス中になぜか睡魔が襲ってくることが多く、カンファレンスでは自分で発表する方が好きでした。
(当時は学校が終わると夜居酒屋でアルバイトをして夜中に課題をやるような生活だったので、シンプルに寝不足だったのかもしれません・・・笑)
おわりに
改めて振り返ってみると、手厚く中身の詰まった2年間で、ありがたい環境にいたんだなあと感謝の気持ちがわいてきますね。
今回は地方の小規模大学院で学んだ私の生活を書きましたが、大学院に進学して臨床心理士になった心理士は概ねこの4つの大枠に沿って学びを重ねてきているかなと思います。
今後、臨床心理士を目指して大学院進学を検討中の方や、心理士の学びに関心がある方の参考に少しでもなると嬉しいです。