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診察とカウンセリングの違いって?

 

「診察とカウンセリングって、どう違うんですか?」

 

これは実は、カウンセリングをやっていると意外によく聞かれる質問です。

 

たしかにどちらも困りごとを話す場所のイメージがあって、何がどう違うのかわかりにくいところがありますよね。

今日はそんな診察とカウンセリングの違いについて、なるべくわかりやすく説明してみたいと思います。

 

 

診察とカウンセリングの違い、ざっくり結論

ざっくりまとめると、次のような違いがあります。

 

・診察は、病院やクリニックなどの医療機関で医師によって行われ、薬物治療が中心。

 

・心理カウンセリングは、心理士(主に公認心理師や臨床心理士)などのカウンセラーによって行われ、言葉のやり取りを通じた心理療法が中心

 

ただ、これだとかなりざっくりまとめですので、ここからは、それぞれについてもう少し詳しくみてみましょう。

 

診察とは?

診察は、病院やクリニックなどの医療機関で、医師が行う医療行為です。

みなさんも風邪をひいた時には内科、皮膚に異常が出たら皮膚科と体に不調が生じた時には病院に行きますよね。

心の不調の場合は、精神科や心療内科と呼ばれる科が専門となります。

 

精神科・心療内科が他の科と少し違うところがあるとすると、最初の診察(初診)では

「どのような経緯でそうなったのか」「これまでどんな生活を送ってきたのか」「家族関係はどうか」など、

今起きている症状だけではなく、その背景も広く聞いて医師が状態を把握するという場合が多いです。

そのため、大体初診では30分〜1時間かけてじっくりと話を聞きます。

 

ただ、2回目以降は他の科と同じように数分の診察になるということも少なくはありません。

1回目とのギャップで診察が短く感じ、「話をもっと聞いてほしいのに、聞いてくれない…」と感じる方もいるかもしれません。

でもこれは、「診察」が状態を診断し、薬を処方して、症状を和らげることを主な目的としているためです。

たとえば風邪を引いたときに病院に行って薬をもらうように、心の不調に対しても話を聞いて薬の処方するという流れが診察の基本的な役割です。

 

そして診察のもう一つの特徴は医療行為となるので、保険の適用があります。

 

 

心理カウンセリングとは?

心理カウンセリングは、診察とは異なり必ずしも医療機関内で行われるものではありません。

たとえば、当カウンセリングルームのようにオンラインでのカウンセリングもあれば、民間相談機関など、場所や形式が決まっておらず、さまざまです。

 

そして、ここで「心理カウンセリング」とあえて表現しているのは、「カウンセリング」という言葉がキャリアカウンセリングや美容のカウンセリングなど、いろいろな場面で使われているからです。

 

心の悩みや問題を扱うのが「心理カウンセリング」ですが、これを行っているのは主に公認心理師や臨床心理士などの専門資格を持つカウンセラーです。

しかし!この点についても、こちらの記事にも書いたように、実は資格がなくても「カウンセラー」は誰でも名乗ることは可能なのです

(そのため、”カウンセラー”がどんな人なのかという点は利用するみなさんが慎重に見極める必要があるポイントの一つでもあります)。

ここでは、わかりやすいように心理カウンセリングを行う人を心理士と表現しながら話を進めて行きます。

 

心理カウンセリングと診察の大きな違いとしては、役割の違いがあります。心理士は医師とは違い、診断や薬の処方をすることができません。

しかし、その分対応できる悩みの範囲はとても広く、たとえば漠然とした生きづらさや、気分の波などの心理的な不調から、

人間関係・職場の悩みなど生活場面での悩み、さらには自己理解のサポートなどより良い姿を探求する目的など、

薬物治療では対処しきれない部分にもじっくり向き合うのことができるのが心理カウンセリングです。

時間も1回45分~50分と診察と比べると時間が長いのも大きな違いです。

 

クライエントさんの中には、診察とカウンセリングを併用している方も多く、医療機関での治療を受けながら、カウンセリングで生活や気持ちの整理をしている方もいます。

 

また、費用については、日本では心理カウンセリングは原則保険適用にはならないため、自費となります。

(※厳密にいうと、2024年からPTSDの方の医療機関でのカウンセリングは保険の適用となったのですが、ここを話すとまた長くなるので今回は省略します)

 

 

ここで改めて、診察とカウンセリングの違いをまとめてみると

ここまでのそれぞれの説明を踏まえて表にまとめてみると、次のように比較ができるでしょう。

 

  診察 心理カウンセリング
担当者      医師  カウンセラー(主に臨床心理士・公認心理師)
方法 診断・薬の処方による薬物療法 対話による心理療法
時間 初診は長い場合があるが、2回目以降は短時間 1回45~50分
費用 保険適用 保険が適用されず自費
対象 医学的に「病気」と診断される状態 生きづらさ、悩み、症状、人間関係など幅広い

最後に

「診察だけを受けている方」「医療機関にはかからずカウンセリングを受けている方」「両方を併用している方」など、

その方のニーズや状態によって選び方はさまざまです。

 

「自分はどっちから始めたらいいのかな…?」と迷う方も、まずはお気軽にこちらからご相談ください。

あなたの今の状態や気持ちに合わせた方法を一緒に考えていけたらと思います。